【オリジナルインタビュー】台湾映画『進行曲 マーチングボーイズ』ジャン・ルイジー監督とケリー・チェンプロデューサーにインタビュー
1990年代の台北を舞台に、マーチングバンドに青春をかけた男子高校生たちを描く台湾映画『進行曲 マーチングボーイズ』が、10月23日(金)よりシネマート新宿ほか全国で順次公開されます。
台湾屈指の名門・建国高校に通うジャン・ハオは、医学部進学を望む父親からの期待に悩みながら、密かにマーチングバンド部へ入部。自由奔放なリウ・ジーチュワン、真面目で責任感の強い部長・タイチェンらと出会い、衝突を重ねながらも、仲間と一つの音楽をつくり上げていきます。実話をもとにした本作では、主要キャストたちが半年から1年半にわたる猛特訓を重ね、吹き替えなしで演奏やフラッグのパフォーマンスに挑んでいます。
主演は、ジャン・ハオ役のムー・セン、リウ・ジーチュワン役のリウ・ユーレン、タイチェン役のユー・ジェエン。監督を務めたのは、『We Best Love 永遠の1位/2位の反撃』『My Tooth Your Love ラブリー・クリニック』などを手がけたジャン・ルイジー監督。


今回は、ジャン・ルイジー監督とケリー・チェンプロデューサーにインタビューを行いました。
※映画の内容に触れる部分があります。
◆この物語を映画にしたいと思った理由を教えてください。
ケリー・チェンプロデューサー:この映画は実在する名門校・建国高校が舞台です。建国高校のマーチングバンドは世界コンテストでチャンピオンになったことがあり、OBの方からこの話を映画に撮ってほしいと私たちを訪ねて来たことから始まりました。それが2019年のことで、2020年にはこの映画の初稿の脚本を書き上げ、もう1人のプロデューサーであるウルフ・チェンさんとどういう企画にすればいいか練り上げていました。その時ちょうどジャン監督の映画『角頭』を観ました。ヤクザ社会を描いたアクション映画で興業収入も2億円を突破しています。この映画がとても素晴らしく、このマーチングバンドの物語をアクションとして、アクション監督に撮ってもらうのはどうか、という話になりジャン監督を訪ねました。
監督:そうですね。今まで青春映画や恋愛映画も撮ってきましたが、僕は人生を撮るのが映画だと思っています。この映画の脚本を読んだときに自分がこれまで撮ったことがない男同士の青春物語だと思いました。みんなで一緒に1つの目的を達成するために頑張るという希望に満ちた作品だと感じ、撮って見たいと思いました。

◆本作は実話がもとになっていますが、実際の出来事を映画として描く上で大切にしたことを教えてください。
監督:先程ケリーさんもおっしゃっていた通り、建国高校の方からこういう話を撮ってほしいというお話があったことが始まりですが、撮影にあたり新たな視点を組み立てることが重要だと思いました。リー・リーレンさんが演じたジャン・ハオのお父さんや、マー・ジーシアンさんが演じたワン主任のような年上の世代の視点です。二人もかつては若い時があったわけですが、自分の人生のために、より良い生活のために、自分の夢を捨てざるを得なかったということ、そして妥協して人生を生きてきてしまった。彼らが若者たちに対して立ちはだかる、抗議すべき存在として、この世代をきちんと描くということも非常に重要だと思いました。彼らは、学生は勉強さえしていればいいんだ、将来いい生活が待ってるから勉強しなさいと言います。この世代の視点をまずしっかりと打ち立てるということが重要でした。そしてタイチェンのお父さんは学歴がない人という風に描きましたが、息子は自分よりも偉くなってほしいという気持ちがあります。そういう様々な世代や人の視点をきちんと打ち立てて若者たちを描くということに力を入れました。


ケリー・チェンプロデューサー:この映画はもちろん事実に基づいて作っていますが、人物
像はすべてフィクションです。事前取材でいろいろな人とお会いしてお話を伺いましたが、その人たちをそのまま映画の中の人物として使ってはいません。人間関係含めすべてオリジナルで作っています。ただ、実際あったこととして、例えば1992年は建国高校のブラスバンド部がマーチングバンド部に変わろうとしている重要な時期でした。ちょうどこの頃から旗を持ってマーチングをするということが始まったんですが、この映画はその時のことを描いています。また映画の中で、2mの旗の竿を1m80cm程に切ってマーチング用の旗棒にしてしまう事件も本当にあったことです。
◆200人以上の若手俳優さんの中からキャストを選んだと伺ったんですけれどもムー・センさん、リウ・ユーレンさん、ユー・ジェエンさんの印象を教えてください。
監督:200人以上の中からこの3人を選んだわけですが、まずジャン・ハオ役を演じたムー・センについてですが、実は性格的にも雰囲気もとても静かなタイプです。当初ムー・センは正反対のタイプに見えていました。ですので周りの人は最初、彼はリウ・ジーチュワン役があっている、リウ・ジーチュワン役を演じた方がいいと言っていました。でも、試し撮りをしたとき、カット後の彼がとても静かな感じになるんですね。カメラがまわっていないときなので自分本来の性格が出てきます。それを見て僕は彼をジャン・ハオ役にキャスティングしました。次にリウ・ユーレンですが、彼が演じたリウ・ジーチュワンはとてもその独立心が強いタイプです。そして少し世の中を斜めに見ているようなところがあり、そしてカッコつけたいタイプです。実際の彼は格好つけるタイプではないのですが、そこは演技をしてもらいました。ただ、ものすごくかっこいい感じにはしない方がいいとも伝えました。
そしてタイチェン役のユー・ジェエンは日本語も上手で、日本の漫画とかアニメが大好きなんですよ。だから僕と話が合いました。そして彼はドラム経験者なので、映画の中で彼の見せ場として、ドラムの達人のようなシーンを描きました。ただタイチェン役は少し怖い雰囲気をもっている。その部分も彼にぴったりだなと思いました。3人とも自分の性格に似ている役をキャスティングしたので、みんな自信を持ってそれぞれの役を演じることができたと思っています。
◆撮影中に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
監督:オーディションの中でとても面白い役者だなっと思った男の子がいました。とても背の高い男の子で、英語教師のツァイ先生にラブレターを書いた子ですね。あの子の存在そのものが面白いと感じました。だから3人の主役と彼を絡めて面白く冗談ぽいところがうまく出せるんじゃないかと思い彼をキャスティングしたんですが、思っていた通りちょうどいいところで、いろんな動作をしてくれて面白かったです。
◆監督が気に入っているセリフを教えてください。
監督:ジャン・ハオとリウ・ジーチュワンのセリフの中で、一人一人が心を合わせて一つのことを成し遂げるチームとしての精神というのがすごく大事だというセリフです。もう1つは、やればできる。やってみないとわからないというセリフです。やればきっとできるということ、そして間違ってもそれを直せばいいということ、間違ってもやってみないとわからないということ。そのセリフがとても心に刺さりました。

◆最後に映画を楽しみにしている日本の観客の方へメッセージをお願いします
ケリー・チェンプロデューサー:みなさん、こんにちは。『進行曲 マーチングボーイズ』のエグゼクティブプロデューサーであり脚本を担当しているケリー・チェンです。今回この作品を日本の映画館で上映していただけるということを大変嬉しく光栄に思います。日本には多くの学校にマーチングバンドがありますが、本作はその青春がたくさん詰まっている作
品です。ぜひ映画館にお越しください。
監督:みなさんこんにちは。監督のジャンです。この作品は、希望を描いた作品です。その希望というのは、自分一人で描いていくのではなく、仲間やパートナーと一緒にいろいろなことをやれば、一人ではとても乗り切れないことだって、きっと乗り切っていけるし、何かを実現することができるということです。自分は一人じゃないということをいつも心に留めて、この映画からもそういうことを感じ取っていただけるんじゃないかと思います。兄弟や仲間、パートナーなど、自分の人生に必要な人は必ずいると思うので、希望を持って歩いて
いってほしいです。そして、そういう思いを感じながらこの映画を観ていただきたいという気持ちもあります。
公式サイト:marchingboys.jp
公式X、Instagram:@marchingboysjp
(text&edit:Tomoko Takeuchi)
STORY
1990年代の台北。台湾きっての名門進学校・建国高校に通うジャン・ハオは、一人息子の台湾大学医学部進学を望む父親の期待を担いプレッシャーを抱えながら学生生活をおくっている。父親はかつて趣味でトランペットを弾いていたこともあるが、「音楽は役にたたない」「部活は時間の無駄」と、ひたすら勉学に励むことをジャン・ハオに強いる。そんななか、マーチングバンド部の活動に興味をもったジャン・ハオは、父親のサインを偽造して入部届を出してしまう。
自由気ままな天才肌の問題児リウ・ジーチュワン、真面目で責任感の強い部長のタイチェンら部員たちとの部活動では、それぞれの個性の強さからたびたび衝突が起こるものの、息を合わせて一つの音楽を作り上げるうちに、徐々に心が通じ合い、部員たちのあいだに絆が生まれていく。そんななか、古い楽器を新しく買い揃えようと、生演奏のアルバイトをした先でトラブルに巻き込まれてしまう部員たち。マーチングバンド部は廃部の危機に直面するが――。
『進行曲 マーチングボーイズ』
監督:ジャン・ルイジー(姜瑞智)
脚本:ケリー・チェン(陳慧如)、ホアン・ジーカイ(黃致凱)
プロデューサー:ケリー・チェン(陳慧如)、ウルフ・チェン(陳鴻元)
出演:ムー・セン(牧森)、リウ・ユーレン(劉育仁)、ユー・ジェエン(余杰恩)、リー・リーレン(李李仁)、マー・ジーシアン(馬志翔)、ホアン・ディーヤン(黃迪揚)
2025年/台湾/台湾華語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー
字幕翻訳:手塚雅美 原題:進行曲 Marchingboys
上映時間:117分 レイティング:PG12
配給:メイジャー 共同配給:アクセスエー
後援:台北駐日経済文化代表処 文化センター
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10月23日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開



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