top of page

東京国際映画祭 ガラ・セレクション部門『記憶ゼロ』。台湾俳優アキラ・ホァンも登壇。舞台挨拶とQ&A

18 時間前
読了時間: 7分

第39回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に正式出品された映画『記憶ゼロ』(原題:Arrested Memory)が10月27日、公式上映され上映後に舞台挨拶とQ&Aが行われました。




まず冒頭にそれぞれ挨拶がありました。


SABU監督:今日はどうもありがとうございます。日本で上映するのはすごく緊張するんですよ。海外ではすごく盛り上がるんですけど、日本の反応はなかなか渋いので、皆さんに喜んでもらえたらと思います。


堤真一:ほんのわずかしか出ていないんですけど、久しぶりにSABUとの仕事を楽しみました。出来上がりも見て、監督として成長も遂げていて、素晴らしい映像でした。向こうのスタッフの方も素晴らしかったですし、一人でも多くの方に見ていただきたいので、よろしくお願いします。


霧島れいか:今日はお越しいただき、本当にありがとうございます。日本の皆様に見ていただける初めての日を、私も本当に楽しみにしておりました。どうだったでしょうか。本当にありがとうございます。


アキラ・ホァン(黄冠智):皆さん、こんにちは。アキラです。東京国際映画祭に参加させていただいて、とても光栄です。『記憶ゼロ』では、薬物依存のあるルーク役を演じました。今日見に来てくださって、ありがとうございます。気に入っていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。(すべて日本語での挨拶)


そして、Q&Aがおこなわれました。




◆20年以上前から念願だった企画を映画化されたそうですが、台湾で撮影することになった経緯を教えてください。


SABU監督:2007年に半年間ドイツに留学したことがあるんです。そのとき、この脚本をドイツで映画化しようと思って持っていきました。ドイツの映画会社の有名なプロデューサーが読んで、「ぜひやりたい」と言ってくださって、進み始めたんです。でも、半年、さらにもう少したっても、なかなかうまく進まなかった。本人はやりたいと言ってくれていたんですが、一旦引き上げることにしました。その後、ソウルのフィルムコミッションに呼ばれて行ったとき、現地のプロデューサーたちと話したら「ぜひやりたい」と言ってくださったんです。これも1年以上頑張ったんですけど、なかなか進まなくて断念しました。その後はニューヨークでやることになって、断念し、続いて東京でも進めたんですが、うまくいかず、今回台湾で撮れることになりました。結果的には、一番いい形でできたと思っています。


◆主演のイーサン・ルアンさんをキャスティングした経緯や、演出について教えてください。


SABU監督:とにかくシリアスな演技ができる人という印象がありました。以前の作品も最近の作品も、見ていてシリアスな演技がすごくできるので、その分コメディに転がれば、幅があって面白いなと思いました。年齢的にも42、43歳くらいで、すごく動けるので、いいタイミングだったと思います。とてもいい出会いでした。


◆柔道の達人という設定ですが、イーサン・ルアンさんは、もともと柔道ができる方だったのでしょうか?


SABU監督:20年前に最初に書いた脚本では、暴力刑事だったんです。今回は記憶を取り戻していく流れの中で、「体が覚えている」という表現に柔道が合うと思いました。刑事という設定にも合っていますし、いろいろなことを忘れていても体は覚えている、ということが分かりやすいので、柔道にしました。彼は3か月間トレーニングをしてくれました。




◆SABU監督は、台湾のスタッフとの共同作業で日本との違いを感じましたか?


SABU監督:みんな自分の意見を持っていて、それを言ってくれるんです。上下関係を感じさせないのがいいですね。お弁当も僕持ってきてくれないので、自分で並びました。そいういのがすごくいいです。


堤真一:若い人もすごく多かったですね。


SABU監督:若い人も多かったですし、撮影現場に出る前の段階では、9割が女性でした。今もすごくいい仲間です。


◆霧島さんは、台湾での撮影経験はありましたか?


霧島れいか:いえ、初めてです。この作品で台湾に行くこと自体が初めてだったので、すごく嬉しかったです。台湾の良さや、台湾の皆さんの温かさをすごく感じて、今はとても親しみを持っています。


◆高雄映画祭にも参加されたそうですが、現地の様子はいかがでしたか?


霧島れいか:すごく盛り上がっていて、明るくて温かいアットホームな映画祭でした。


SABU監督:今年で「オープニング作品になるのは3回目」と言われたんですけど、僕は全然気づいていませんでした。すごく盛り上がりました。




◆アキラ・ホァンさんのお名前について教えてください。「アキラ」という名前には、どのような由来があるのでしょうか?


アキラ・ホァン:3年くらい前に撮影した台湾ドラマで演じた役の名前が「アキラ」だったんです。


◆では、SABU監督と同じで、役名をそのまま使っているんですね。


SABU監督:一緒ですね。「アキラ」って格好いいじゃないですか。


◆ルークは何度見ても笑ってしまう役ですが、演じるうえでは難しさもあったと思います。この役をどのように捉えましたか?


アキラ・ホァン:監督とこの役についてお話ししたときに「ルークはもともと賢い人間だったけれど、さまざまな環境の影響で最終的に薬物に依存するようになってしまった」と伺いました。後半に手錠をかけられる場面がありますが、そこでは、彼がもともと非常に聡明な人だったということが分かるようになっています。役作りでは、げっそりした感じを出さなければいけなかったので、かなりストイックに取り組みました。




◆出演者の皆さんが、撮影中に一番ワクワクしたことは何でしょうか。


アキラ・ホァン:素晴らしい先輩俳優の皆さんと共演できたことです。SABU監督と一緒に仕事ができたことも、本当に楽しかったです。


霧島れいか:普段は、いいお母さんだったり、少し病んでいる役だったり、おとなしい役を演じることが多いんです。なので、銃を持った瞬間が一番ワクワクしました。


堤真一:海外で撮影するのは初めてだったんですけど、SABUと一緒なので、どこに行っても同じなんですよ。ほぼ擬音でしか演出しないところも変わらずだったので(笑)。全体的に楽しかったんですけど、すごく新しい、違う環境でやっているという感じではなかったですね。台湾料理もおいしかったですし、ずっと楽しいまま撮影を終えて、帰ってきたという感じです。


◆抜群に面白かったです。特にテンポ感が良かったのですが、このテンポは編集で作られたのでしょうか?


SABU監督:今回、編集を担当してくれた方も会場に来てくれていますが、その方とプロデューサーのジャスティンが、すごくたくさん意見を言ってくれました。今年の1月から8月までに、58バージョン作っています。ベネチアでの上映は3月に決まったんですが、そこから上映までの間にも、さらに編集して変えています。今回はすごく編集の力が大きかったと思います。




◆20年前から、さまざまな国で企画が進んでは実現せず、今回ようやく完成したということですが、その間に脚本は大きく変わったのでしょうか。


SABU監督:韓国でやることになったときに少し変わったんですけど、その後、また元に戻しました。それから、言い方が良くなかったかもしれませんが、企画が駄目になったというより、僕が引き上げたんです。気が短いというか(笑)。だいたい1年に1本撮るのが自分のペースだったので、それ以上ずっと待っていても仕方がない、というところがあって引き上げました。脚本が大きく変わったのは今回です。どこで読んでもらっても面白いと言ってもらえる内容で、テンポ感やセリフの面白さもあるんですが、20年前に書いたものなので、時代に合わせて変えた部分はあります。当時は「ビデオテープを巻き戻せ」というセリフだったものを変えたり、電話や携帯電話に関するところを変えたりしました。今は監視カメラがいろいろなところにあって、すぐに見つかってしまう。20年前は今ほど発達していなかったので、そういう部分も少し変えています。それから、台湾にはすごくノスタルジックなところもあれば、近代的な場所もあります。今回の脚本とすごくマッチする街だったので、うまくいきました。


(text&photo:Tomoko Takeuchi)




作品情報

監督 SABUが自ら脚本・監督を手がけた『弾丸ランナー』(96)は、第47回ベルリン映画祭で初上映され、その存在を強烈に印象づけた。2015年には、『天の茶助』がベルリン映画祭コンペティション部門に再び選出され、国際的な地位を確立。2017年『ミスター・ロン』も同じくコンペティション部門に選ばれ、監督として多様性と革新性を証明した。独自の語り口と人間性への深い洞察力で国際的にも評価が高く、愛とユーモアをテーマに作品を作り続けている。


スタッフ

監督/脚本:SABU

プロデューサー:ロジャー・ホアン

プロデューサー:市山尚三

プロデューサー:ジャスティン・オー

撮影監督:ジェイ・イップ

美術:チェン・ボーレン

編集:マチュー・ラクロー

音響:ドゥー・ドゥージー

音楽:松本淳一


キャスト

イーサン・ルアン

ムーン・リー

シエ・インシュエン

堤 真一

霧島れいか

アキラ・ホァン

コメント


記事: Blog2 Post

©2026 Manettia All rights reserved.

bottom of page